助成活動事例「国立大学法人長崎大学 長阪玲子氏ー密度による魚類の体サイズ調節機構について」
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助成テーマ:農林水産業における革新的・先進的技術に関する研究【2024年度】
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研究題目:エピジェネティック育種の創成基盤の構築ー魚類の外的変動適応メカニズムの解明
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代表者名:長阪玲子
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代表者所属:国立大学法人長崎大学 海洋未来イノベーション機構
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発表学会情報:2024年9月25日 令和6年日本水産学会大会秋季大会(京都大学 吉田キャンパス)
発表内容
「密度による魚類の体サイズ調節機構について」
【背景・目的】
魚類の中には、生育環境によって体サイズを変える魚種が存在する.実際に,コイや金魚などは水槽のサイズや飼育密度によって体サイズを変える.
これは外的要因に適応するための生存戦略として体サイズを変化させると考えられるが,生育環境をいつどのように感知し,
個体サイズの調節に結びつけているのか,その仕組みはほぼ未解明である.そこで本研究では,魚類の環境依存的な体サイズ調節の仕組みの解明を
目的とし,環境認識部位の確認とRNA-seq により密度変化に伴う遺伝子発現量の差異を検討した.
【材料・方法】
これまでに我々は密度の異なる環境でゼブラフィッシュを飼育した際に、低密度飼育において成長率が高くなること,
また環境認識に側線が寄与していることを報告した.そこで,今回は通常のキンギョおよび後天的に眼球欠損したキンギョを用いて
密度の異なる水槽で飼育を行った.また,異なる密度で飼育したゼブラフィッシュの筋肉でのRNA-seq を行った.
【結果・考察】
キンギョの健常個体および眼球欠損個体において,どちらも低密度飼育で体重の変化率が高くなることが明らかとなった.
これにより,環境認識は視覚からの情報に依存せず,側線からの環境認識が主な情報であることが明らかとなった.
また,ゼブラフィッシュのRNA-seq の結果から,密度の違いによって筋線維や筋発達についての遺伝子に変動がみられた.
また、群行動に関与する遺伝子発現量も密度によって異なることから,個体サイズの調節は運動量の変化も一因である可能性を示唆した.